ミーン、ミーンミーンミーン・・・
「ああ、暑いデスネ・・・」
時期は、冬。
日本では雪がしとしとと降る、とても寒い時期である。
だが、先程の少女の発言のように、今この地はとても熱い。
それは何故だろうか?
決まっている、ここは日本ではないからだ。
ここは、アフリカ大陸の南西に位置する小さな孤島。
ここで彼女は、とある活動の手助けをしている。
(んん・・・なんでこんな事になったんだろう?)
彼女は思い出していた。
この島に来た時の事を。
アナザー:出会い、そしてはじまり。
私は高校卒業後、大学へと進んだ。
本家である二木の家は、高校時代に理樹君とおねーちゃんが壊滅させてしまったし、
三枝の家も居心地は良かったけど、いつまでもお世話になれないシネ。
だから私は全寮制の大学になんとか入学し、そこで様々な事をを学んだ。
その中でも私が一番興味を持ったのが、環境学だった。
スーパーヒーローのはるちんは、世界環境もどうにかしちゃうのダー!と、
意気込んで見たのはいいのだけれど。
首を突っ込んでみると、その状況は自分がテレビなどで知っていた状況とはまるで違って。
深刻・・・ただ、その一言に限った。
でも、私の頭ではそれを食い止める方法を考えるだとか、そんな事は全然出来なくて。
そこで先生から私に託された道が、「現地派遣組」だった。
偶然、私が行く事の出来るところが見つかり(内戦などで私の年齢で行ける国は少ないのダ)
首尾よく私はその国の環境団体の所に行く事になった。
日本から離れる事は特に何も思わなかったけど、皆と離れることは結構つらかった。
でも、私は地球を守るために日本を飛び出したのだった。
「ふぅ・・・」
長い飛行だった、と思う。
先生から斡旋されたのは、アフリカ大陸の南西の島だった。
といっても、別に無人島という訳ではなく
自然が残る人が必要最低限の手を加えた島という訳だ。
自分のすることは、ここで生活する事だ。
ここは環境保全のモデル特区で、ここにより多くの人が今の状態を保ったまま生活する事で
各国のお偉いサンに報告する事で訴えかけるらしい。
だから、私はここで生活する事が重要なのだ。
という訳で。
私の眼前にあるこの建物。
ここが重要拠点、「silent place」。
静かな場所と言う意味で、ここを騒がしくしてはいけないという意味が込められているらしい。
私は、建物の前にある花壇の世話をしていた男の人に声をかけてみる。
「あのー・・・」
「ah?」
男の人が振り向く。
「Who are you?」
「え、ええと・・・」
いきなりの英語に、しどろもどろになっていると・・・
「こら、オイタはだめですよ?芳野。」
奥から出てきたのは優しそうな女の人の声。
「こんにちは、日本から今日着くっていう、三枝さんね?」
「あ、はい。三枝葉留佳です。よろしくお願いします」
そう言って頭を下げる。
このあたりの礼儀作法は大学入学の際に覚えた。
(というよりある人に叩きこまれたのだが、それはまた別のお話)
「あらあら、礼儀作法が出来てるのね、うれしいわぁ。
ここは礼儀作法の出来てない人が居るから」
悪かったな、と芳野と呼ばれた男の人が言う。
「あら、自己紹介が遅れたわね。私は磯貝凛子、ここsilent placeで管理人をしているわ」
「俺は芳野一樹、ま・・・なんかやってるよ」
「貴方も管理人でしょう?」
「俺に管理職は向かないって言ってんのに、あのお偉いさん方はそれがわかってんぇんだよな」
「まったくもう・・・」
葉留佳が何も言いだせずに居ると。
「あら、ごめんなさい。こちらの話になってしまって」
「いえ、大丈夫デス!」
「ならいいのだけれど」
「ま、それだけ荷物があると邪魔だろう。凛子、部屋まで案内してやってくれ」
俺は女子の部屋の方には行きたくないんでな、と付け加えた。
「はいはい、分かりましたよ・・・」
軽く呆れたような顔で、しかし頼みを了解する。
「じゃあ、私についてきて?」
「分かりましたー!」
「ふふ、元気があってうれしいわ」
そう言いながら、後ろに歩き出す磯貝さん。
私もそれについて歩き出す。
歩いていると、銀髪の綺麗な人とすれ違った。
「あれ?」
疑問に思い、口に出してみる。
「どうかしたかしら?」
「いえ、あの人は・・・」
「ああ、あの人は今日に出ていっちゃうのよ」
「へ?だってここは一人でも多くの人を集めてるんデショウ?」
だったら、人が出て行くなんてほとんどないはずだが・・・
「そうなんだけど・・・自分はやらなきゃいけない事がある、なんて言われたら止められないでしょう?」
それはそうだろう。
だが。
「どこかでミタコトあるんだよね・・・?」
「え?」
「イエイエ、なんでもないデス」
「ならいいんだけど・・・?」
そんな会話をしている内に、宿舎に到着。
「じゃあ、この中に寮長が居るだろうから、そこで詳しい話は聞いて頂戴ね?」
「了解デス!これからもよろしくお願いします!」
「それじゃ、またあとで」
そう言って、磯貝さんは来た道を戻っていった。
この時既に、新生活に向けての高揚感で、先程すれ違った人が誰なのか、なんて事はすっかり頭から抜け落ちていた。
/side ????
ふぅ、やっと出てこれたか。
あそこでの生活はとても楽しかったが、やはりこの夢は叶えたい。
よし、向かうとしようか。あの人が居る地、日本へ。
あとがき
や、どーもGWの勢いを使って完成させまくってます、嘘です橘です。
今回は葉留佳編のアフター的なポジションですね。
最後に/sideとなった人の事を考え、分類はクロスオーバーとさせて頂きました。
微妙に伏線はれたかどうか分かりませんが、本人ははれてるつもりです(ぇ
この作品は、前作、出会い、そしてはじまり。のあとがきにあった、消失した1話です。
ノートプロットが発見された訳ではなんですが、自分の記憶を頼りにして書きました。
随分葉留佳が葉留佳らしくありませんが、そこは成長したという事で←
んでこのお話の続きなんですが、クロスオーバー的には続きます。
ですが、この葉留佳を書くかどうかは・・・正直未確定ですね。
自分の頭の中に(現時点では)続きが思いついてないのでw
さて前作、今作共に名前だけ登場のあの人。
さて、どことどこが繋がってるか分かりませんよ〜w
気付いている方もいらっしゃるのかな・・・?
まぁ今回はこの辺りで。
ここまで見て頂いた方に、精一杯の感謝をしつつ、これで失礼します。