「はぁぁぁぁ・・・」

ここに、悩ましげな溜息をつく少年が一人。

「うぅぅぅぅん・・・」

そう。彼こそが、今回の主人公である。

その名も――――――――――















少年Aである。

「モブキャラかよ!?」











名無し少年の色恋物語第一話、「一目惚れ」













そう。今彼は悩んでいるのである。

「はぁぁ・・・」

(どうすれば、いいんだろうな・・・)





一目惚れだった。

あれは、確か去年の夏休みだったと思う。

俺は夏休みの課題を片付ける為、図書館に行った。

(はぁ、ホントだるいな・・・とっとと終わらせて帰るか)

とりあえず図書カード作る為に受付に行くか・・・と思い受付に。

そこで・・・彼女と出会ったのである。

「今日はどのような本をお探しですか?」

その人は、俺が見た事もないぐらい綺麗な人だった。

「え、えっと・・・」

俺は、しどろもどろになりながら希望の本のジャンルを伝える。

「あ、それならこの本等がいいと思いますよ?」

彼女は一冊の本を差し出してくれた。

「あ、どうも・・・」

「どうされます?ここで読むか、それとも借りていきますか?」

「あ、じゃあ借りてきます・・・」

「はい、ではここに名前と住所を―――」







こうして、彼女との会話は終わった。

あの時から、ずっとあの図書館に通っている。

向こうも顔を覚えてくれたみたいで、親しげに話しかけてくれる。

こっちも最初の時よりかはしっかり喋れるようになって、色んな事を聞けた。







名前は、更志野新奈さん。

ここ、色彩屋根裏図書館の司書をしていて住み込みで働いているらしい。

図書館、という位なのだから館長の一人でも居てもおかしくない。

その事について新奈さんに聞いてみても、

「いえ、気にしないでください。居て居ないようなもんですから」

との返事が来た。一体どのような人なんだろう・・・?

一度は会ってみたいとも思った。





そして、何も進展がないまま、今日に至る。

(やっぱり、なにか行動を起こしたいよなぁ・・・)





という訳で。

僕は、親父のカメラを持ち出したのであった。

(これで、新奈さんを・・・)

撮る、いやできれば一緒に・・・いやでもそれはと。

考えている内に図書館に到着。

(よし・・・)

少年が勇んで図書館に入ろうとすると・・・

「おい貴様、そこで何をしている?」

「うわあっ!?」

目の前に居たのは、緑色の・・・生き物?

「あ、あなたは・・・?」

「うむ。我こそは色彩屋根裏図書館の館長、みなるでぃ改であーる」

「え・・・か、館長さん!?」

「ああ、その通りだ。所で・・・」

館長はカメラを一瞥すると

「ここで何をしておったのだ?どうやら我が図書館に入ろうとしていたようだが・・・ああ、新奈のファンか」

「ふぇっ!?な、なぜそれを」

「ふっふっふっ。館長は最強であり至高だからな。そんなこと御見通しじゃ」

あいた口が塞がらない。

そういった感じの少年Aなのであった。

「ふむ、だが新奈の写真は撮らせんぞ」

「な、なぜですか!?」

「だってそっちの方がありがたみますやん♪」

なんとも身勝手な館長である。

「でも・・・」

「なんと言っても撮らせんぞー!」

頑なに撮らせようとしない館長。

だが、そこに少年Aの心に火がついた。

「でも・・・僕は撮るんだ、何がなんでも!」

「ほほう・・・この館長と闘りあうというのか、若き少年Aよ」

「ああそうさ!僕は貴方を倒して・・・新奈さんの写真を撮るんだ!」

「だったら・・・くらええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

館長はハンドガンを取り出し、アー君にギリギリ当たらないように打つ。

「うおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

大してA君は素手で対抗する。

装備的には圧倒的に負けているが、どーでもいいようだ。

「なんか騒がしいような・・・?って、ちょっとー!・・・何やってるんですかー!」

「え・・・新奈さん?」

戦闘の最中でありながら、新奈に気づくA君。

「もう・・・怒りますよー!!!!!」

「え・・・えーーーーー!?」

新奈は、とりあえず館長が暴れていたのでキレたのであった。





数刻後。

そこにあったのは、立つ一人の少女と、倒れる二人の男たちであった。

「ほんとにもう・・・って、少年Aさん!?大丈夫ですか?」

「あ・・・はい、大丈夫で・・・す・・・ガクッ」

「少年Aさん?少年Aさん!?」

こうして彼は気絶してしまったのだ。

自分の恋焦がれる少女によって。





この後、愛しの新奈に介抱されるというイベントが起きるのだが・・・それはまた、別のお話。










あとがき



さて皆さんいつも出会うときはお久しぶりですねどうも和板です。

なぜか知りませんが始まってしまいました「名無し少年の色恋物語」。







司書である新奈ちゃんと、名前もまだ無い少年A君の物語。

一体どうなるのか、自分でも分かりません。

あたたかい目で見ていただければ幸いです。




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