「なんだか、最近毎日館長に呼び出されているような気がするなぁ」

そうボヤくのは、最近とある図書館でご厄介(?)になっているあー君こと少年Aである。

本日も、図書館館長を勤めるみなるでぃ改に呼び出されたのである。

『あー君や、帰りにちーとうちの図書館に寄って行ってくれんか』

「はい?今日はなにかありましたっけ?」

『うむ、ちと渡したいモノがあってな』

「はぁ」

『ま、つーわけで来てくれ。』

という一方的な電話があったそうな。

「こんにちはー…」

図書館の扉を開け、中に入る。

「あら、いらっしゃいAさん」

「あっ…こんにちは新奈さん」

図書館の顔であり司書である更新野新奈さんが居た。

「今日はどうされたんですか?」

にっこりという擬音をつけたくなるほどの笑みで、僕に聞いてくれる。

あまりの可愛さに一瞬フリーズしてしまうが───そこはなれたものだ───すぐ再起する。

「今日は館長に携帯で呼び出されたんです。

なんでも、渡したい物があるそうで」

「そうでしたか…すいません、いつもいつも急に呼び出して」

「いやいや、大丈夫ですよ」

毎日新奈さんに会えて幸せですとは、恥ずかしくて言えないけど。

「多分奥にいるので、先に館長室へ行っておいてもらえませんか?

私もすぐ追いかけますので」

「あ、はい。じゃあ先に行ってますね」

というやりとりをして、僕は館長室に向かった。

コンコン。

「失礼します」

ノックをした後、扉を開ける。

あの館長といえど、礼儀は必要だ。

「おお、来たかあー君」

『緑の生命体』と比喩される事の多い、ここ色彩屋根裏図書館館長は、

館長室らしい木の机とセットになっている椅子に座っていた。

「呼び出したのは館長でしょう?」

「そうだ。

実はアー君に渡したいもんがあってな」

「その渡したい物って一体なんですか?」

「うむ。二つあるのだが、まずはこれだ」

そういいながら館長が机の中から出したのは、黒い箱だった。

「一体それは?」

「中に入っているのは、『ネットウォーカー』という機械でな。

ほれ、以前『外でもレポートが書けたらなぁ』とボヤいていたじゃあないか。

その時ずっと放置してあったこいつを思い出してな。

倉庫から引っ張り出してきたわけだ」

「え、いいんですかこんなの!?

最低でも3万はしますよ!?(2010年12月現在)」

「まぁ、元々放置してあった物だしな。

動作確認はしておいたし、アダプタも入れておいたから大丈夫だろう」

「こんなに高い物…ありがとうございます!」

「なんのなんの。

いつも図書館を贔屓にして貰ってるお礼という事にしておいてくれ」

館長の優しさに、僕が感動していると。

「それで、もう一つ渡す物があるんだ。

実はこっちの方が本題でな」

「え?ネットウォーカー以上に大事な物ですか?」

「ああ、これだ」

そう言って館長が渡してきたのは、生温かい黒い布だった。

「? なんですかこれ?」

「新奈のぱんつだ。しかも脱ぎたて」

「ちょ、え…ええええええええええええええええ!?」

これが、新奈さんのぱんつ。

しかも、脱ぎたてという事は、この暖かさは新奈さんの…

「って、何渡してるんですか館長!?」

「と言いつつ、ぱんつの感触を堪能している。

お主も男よのぉ」

うっ、流石は館長。

「と、とにかく!これはお返しします!いくら何でも受け取れません!」

と言いつつぱんつを机の上に置く。

何を勿体無いことをと館長が言っているけど、流石にこれは受け取れない。

「隙ありっ!」

某コーナーで鍛えた瞬発力で、ぱんつを持った館長が迫ってくる。

某コーナーなら、慣れている彼女が館長を撃退するのだが、今の標的はアー君である。

勿論、アー君にそれをかわす身体能力はなく…館長の襲撃をまともに受けることとなった。

「よし、これでアー君が新奈のぱんつによって変態仮面になった訳だが」

「って何やってるんですか館長おおおおおおおお!」

見事にアー君の頭に新奈のぱんつがフィットしていて、

正に変態仮面そのものである。

アー君はとろうとして、ぱんつに手をかけたその時…

「失礼しま…へ?」

そのぱんつの本来の所有者が、姿を現したのである。

新奈がみたのは、自分のぱんつを被って、それに手をかけている少年。

ここから導き出される想像は、そう少なくないだろう。

「私の下着で…なにやってるんですかああああああ!」

「すいませえええええええええん!」

夕方の空に、少年少女の声が響いた。

「すいません、Aさん。

つい取り乱してしまって…」

本当に申し訳無さそうに、新奈が頭を下げる。

ちなみにその足元には、新奈によってのされた館長がいた。

「いえ、気にしていないので大丈夫ですよ」

「本当にすいません…館長には、もう一度よく言って聞かせますので」

「もう頭をあげてください新奈さん…じゃあ、今日はこの辺で帰りますね」

「はい、また落ち着いた頃に来てくださいね」

「ええ、いつでも来ますよ」

そう言って、A君は家に帰るのであった。

(また、明日も来よう)

と考えながら。

図書館前にて。

「珍しいじゃないか、新奈」

ぼろぼろの館長が、新奈に話しかける

「珍しい?どういう事ですか?」

「あんな光景を見たら、お前はまっさきに俺を疑うはずだ。

アー君がそんな事するはずがない、ってな。

だがお前はアー君へ攻撃した。俺が見えていないぐらいにな」

図星をさされ、何も言えなくなった新奈だったが、ふと

「なんだか、Aさん相手だとそうなっちゃうんですよね。

自分でもよく分からないんですけど。

Aさんって、不思議な人ですよね」

「ふむ、そうなのか…そりゃあ、よかったな」

「よかった…?どういう意味ですかそれ?」

「いやなに、なんでもないさ。気にするな」

「はあ」

いまいち腑に落ちない新奈であったが、気にするなと言われれば気にしないでおく。

頭の片隅の、【不可解な事】の抽出しにしまっておく事にしたのだった。



あとがき

新奈可愛いなぁとか思ってたら完成しました。

ちなみに大半は修学旅行の行き帰りの電車内で書いたことは秘密。

そんなこんなで、プレゼント編でした。

作中に出てきた館長がアー君にあげたネットウォーカーですが、実話です。

館長からA君へ渡されたネットウォーカー、真実はみなるでぃ氏から和板へと渡された物です。

こちらから感謝の連絡を入れた所、

「じゃあなにかそれで一つお話を書いてください」

と言われたので、ネットウォーカーを駆使して書き上げました。

新奈のぱんつも館長は渡しそうだね、とも文章にあったので、ついでに脱ぎたてにして

アー君にわたしてみました。

最後に、ネットウォーカーを下さったみなるでぃ氏にここでもう一度感謝を。





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