ある男が好きなセカイ -why write it?-




「理樹のぼけー!」

そう言って鈴は行ってしまった。

そうだよな・・・今回のは流石に僕が悪いよな・・・




あの世界から帰ってきた後、僕は鈴にもう一度告白して。

そのときに返ってきた答えがこうだった。

「理樹はかならず私が幸せにしてやる」

あれ?告白したの僕だよね?って思いながら、でもこれが僕らなのかと思った。

そうして、仲良くやってきたハズだったんだ・・・




「かなりシリアスムードになっているとこ悪いが」

「ってうわ!」

目の前には来ヶ谷さんが。

「いつからそこに居たのさ・・・」

「残念ながら五分ほど前だ。丁度鈴君が「『理樹のぼけー!』」と言って君を張っ倒した後ぐらいかな」

それってほぼ最初からじゃ・・・と思いつつ、ふと思った。

「て事は・・・気づかなかった僕が悪いのか・・・」

「その通りだ」

「なんかこう・・・ズバッと言われるとへこむなぁ」

「まったく・・・所で、いつも仲の良い君達が、どのような理由で喧嘩なんてしたのだ?」

「ええ、それが・・・




「ぱんつ見せてくれって言っただけなんですよ」




「ではな。理樹君」

「あ、あれ?来ヶ谷さん?ちょっと待ってよ!」

遠くへ行こうとした唯湖を引き止める。

「理樹君・・・私は失望したぞ・・・」

「え?そうですか?」

「そのまったく悪びれて無い所が最悪だよ理樹君」

「だって、僕は鈴の彼氏ですよ?見たって良いじゃないです・・・」

理樹は最後まで言う事が出来なかった。

ビコーズ、何故なら、唯湖が何とも言えない剣幕で睨み付けているからだ。

「理樹君・・・そろそろ君を断罪しても良いかと思い出したよ」

「ええ!?なんでさ!?」

「断罪してやる」



〜現在ゆいちゃんが断罪していますので少々お待ち下さい〜



「橘さん・・・ゆいちゃんって呼ぶのはやめて下さい・・・」

楽しいのが俺の信条だよ?だよ?

「どこのレナですか・・・」

ちょっとノイズ入ったかな?かな?とりあえず本編をどうぞ。



そしてちょっと経って、

「断罪完了だ。ではな。」

「ああ・・・痛いよ来ヶ谷さん・・・」

「一度頭を冷やせ。」

そう言ってゆいちゃ・・・来ヶ谷は去って行った。

「むむう。どうすればいいんだ。」

理樹は断罪されたまんま(廊下の角に頭のみめり込んでいる状態)考える。

「どうすれば仲直り出来るんだ・・・?」

そんな事を考えていると。

「あれ・・・?頭に血が上って・・・」

次の瞬間、理樹はホワイトアウトした。



「ううん・・・」

「あ、起きたぁ〜?」

「小毬さん」

目の前に居たのはクラスメイトの神北小毬。

「びっくりしたよお〜理樹君廊下の角で泡吹いちゃってたもん〜」

そしてここは保健室のベットの上。

と言うことは・・・

「ここまで運んで来てくれたの?」

まぁ、そうなのだろう。ここに居るのは小毬だけなのだから、

ここに運んで来てくれたのも小毬・・・というごくごく普通の発想に至ったが、小毬の答えは違い、

「ううん、違うよ?私は保健室の先生のお手伝いしてただけだよ?」

「え?そうなの?」

コレは意外。

では、ココまで運んで来てくれたのは誰なのだろうか?

「小毬さん、ここに僕を連れてきたの誰だか分かる?」

「うんとね〜よく分かんないんだけどぉ〜とりあえず、リトルバスターズの誰か、って事は確かだよ?

先生がそんな様な事言ってたからねぇ〜」

「そっか・・・分かった、ちょっと調べて見るよ」

「ええ〜?もう大丈夫なの?」

「なんとかね。じゃあ行くよ」

「うん〜じゃあ私はここで先生待ってるから〜」

「それじゃあ、ありがとね。小毬さん」

「じゃあね〜」

そう言って、僕は保健室を後にした。



最初に僕が向かったのは、教室だった。

教室に居たのは・・・

「クド公かくごぉー!」

「わふー!」

葉留佳さんとクドだった。

「あ、理樹くんおかえりー」

「リキ、おかえりなさいなのです!」

「葉留佳さん、クド」

「聞いたよ〜?姉御に熨されてたんだって?」

「ああ・・・まぁね・・・」

そういえばと思い、教室を見回す

「リキ、どうしたのですか?」

「うん、鈴どこに行ったのかな、って」

「鈴ちゃんですカ?」

「うーんと・・・私は見てないのです・・・すいません、リキ」

「いや、いいんだよ。所で、僕を保健室に運んでくれた人って誰か知ってる?」

「え?あたしじゃないですヨ?」

そういえば、とクドが言う。

「さっき、保健室の辺りで鈴さんを見ましたよ?」

え・・・と驚く。

「鈴が?」

「はい。なにか周りを気にしていて、話しかける間も無くどこかに行っちゃいましたけど・・・」

「そっか、ありがとう、他の人にも聞いてみるよ」

「分かったのです!」

「よーし、もう一回クド公かくごぉー!」

「な、なんでなのですか!?わふー!」

後ろがすごい事になってるが、時間がないので後にする。



次に僕が向かったのは中庭だった。

中庭には・・・

「何か御用ですか、直枝さん」

西園さんが居た。

「あ、うん。それが・・・

「保健室に運んでくれた人を探しているのでしょう?」

「よ、よく知ってるね」

「来ヶ谷さんに聞きました」

情報速いなぁ・・・とも思ったが、来ヶ谷さんと西園さんだから何があってもおかしくないとも思った。

「それで、西園さんは何か知ってる?

「いえ、知りませんが、先程直枝さんが保健室から出て行った後、神北さんが安心とした顔をしてましたが」

「え?小毬さんが?」

というより見られていたのかと思いながら。

「そうか・・・」

何か、繋がった気がする。

僕の心の中で、点と点が繋がった。(様な気がする)

「分かったのですね」

「え?」

「いえ、何か悟った様な顔をされたので」

誰か分かったのかと思っただけです。と、彼女は言った。

「もしかして、分かってたの?」

「ええ。ここから保健室の様子はそれなりに分かりますから」

そう言って、美魚が視線を向けた先には、保健室の先生が小毬さんに何か指示を出していた。

「ああ、ここからバッチリ見えるんだね・・・」

最初からココに来れば良かったと思いながら、

「でも、答えは教えてくれないんだね」

と言った。

「ええ。貴方が思いついた方に会いに行けばいい。それだけでしょう?」

と、美魚は微かに微笑んだ。

「うん。ありがとう。じゃあ、行ってくるよ」

「行ってらっしゃいませ」

僕は中庭を後にした。

彼女に、会う為に。



「この辺に居ると思ったんだけどなぁ」

周辺を見回す、すると。

「♪〜」

いた。

彼女の声が聞こえる。

さて、会いに行こう。



「ぐるーみー、ぐるーみー・・・」

鈴は、いつも通り猫にブラッシングしていた。

「鈴」

自分でもビックリするぐらい鮮明な声だった。

ビクッ!!!と、鈴の体が震える。

「な、なんだ、馬鹿理樹」

「ありがとね」

「な、なんの話だ」

「倒れてる僕のこと、保健室まで運んでくれたの、鈴でしょ?」

そう、運んでくれたのは鈴なんだ。

クドの目撃証言、そして、小毬さんの安心した表情。

全ては、鈴の行動。

「駄目だよ?鈴。小毬さんに嘘つかせちゃ」

「だ、だから何の話だと」

「ありがとう、鈴」

鈴に近づいて、ぎゅ、と優しく抱きしめる

「な、なにするんだ・・・」

と言いながら、抵抗の力は弱い。

「ごめんね、鈴」

「こ、今度は何の話だ?」

「やっぱり、あんな所であのセリフは駄目だよね・・・」

「やっと分かったか、馬鹿理樹め」

「うん、本当にごめん」

「分かればいいんだ。分かれば」

「うん、うん・・・」

そう言って、鈴の頭を撫でる。

「ふにゃあ・・・」

「鈴、猫みたいだ」

鈴が唇を突き立てる。

「別にいいじゃないか」

「うん、そうだね。それが鈴らしいや」

「それもそれで困るぞ」

「ははっ」

「笑うなー!」

そんな、柔らかい時間。

こんな時間が、いつまでも続いたら。

すごくいいな、と。

「ふかー!」

「り、鈴!爪は駄目だって!爪は!」

僕は、思った。



後日。

「理樹」

「ん、何?鈴」

「その、だな・・・」

鈴が口ごもる。

「どうしたの?」

「別に、いいんだぞ・・・」

「何が?」

「二人きりなら、見せてやる・・・」

「何を?」

「そのくらい分かれこの馬鹿理樹!」

どこーん!と、鈴のハイキック。

「え、まさか・・・」

「ああ、パンツを、だ」

「・・・ありがとう!鈴!」

「理樹!何をする!」

あの時は違い、強引に。

「じゃあ早速・・・」

「二人きりの時だけじゃぼけー!」

本日二回目のハイキックを受けながら、やっぱりこんな日が続けばいいな、と。

改めて思った。





この稚拙な愚文を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
とりあえず、あとがきをば。

やってしまった。
↓ここから言い訳ターイム
そりゃあね、最初は馬鹿理樹でもいいと思ったんだよ?
というより終始馬鹿理樹で終わってもいいんだ、とも思ってた。
でも、最後でなんか綺麗な理樹に戻ったから、ああ、キレイダナーとか思ってたら・・・
後日談で馬鹿理樹に戻っちまったZE☆

なんで後日談なんて書いたんだろね。どうかしたのか俺。
まぁ、多分どうにかしてるんだろうねっ!

以上、橘和板でした。






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