/side kanata

「迎えに来たよ、佳奈多さん」

そこにあったのはいつもの彼の顔。

まったくもっておかしなところなどない。

「迎えにって・・・じゃあ、この騒ぎもあなたの仕業なの!?」

「いや、これは恭介たちが遊んでるだけ・・・割と過激なのを」

まったくもうと理樹が言う。

いつもの理樹の困った顔に、自分も頬が緩む。





自分が、どのような状況に居るのかも忘れて。





「おい、貴様ら・・・」

伯父が、銃を構える。

「それで・・・僕を殺そうとしてるんですか?」

「もういい、ここまでだ。ここまで俗世間に染まった者など、二木にはいらん」

「・・・」

最低だ。怒りで声すら出ない。

そう思っていた時だった。





カシャ!





フラッシュが部屋中にかかる。

「何事だ!」

「んー」

そこに居たのは。

「なんか上手く撮れてない・・・もう一枚いきます?」

無気力そうな目で、でもどこか一本芯のあるような人だった。

「あなたは・・・?」

「僕らの仲間さ」

理樹が答える。

それ以上言わないという事は、それで十分という意味だろう。

「分かったわ」

理樹が仲間というのなら、私の仲間でもあるはずだ。

安心し、理樹の方を見る。

「さて、彼が持っている写真・・・これが表に出ればどうなるか、それぐらい分かりますよね?」

「くっ・・・」

伯父が、苦虫を噛んだような顔をする。

「じゃあ帰ろっか、佳奈多さん」

「え、ええ・・・」

すごい時間だった。

窮地のピンチに立たされていたはずだったのに。

私は今、大好きな人と、大好きな場所へ戻ろうとしている。

その事が、とっても幸せに思えるのだった。





/side helper?

「さて、と・・・」

俺は固まったまま動かない二木の伯父を見る。

「あなた方が代々続けられていた事は、既に公に出ています。

じきに警察がここにやってきて、逮捕されるでしょう。

ま、自業自得ですが・・・何か、彼女に伝える事はありますか?」

そう、事務的に彼に伝える。

「クックックッ・・・まさか、お前が出てくるとは思ってなかったよ」

「なんの話でしょう?」

俺は、笑顔で答えてやる。

「はっ・・・貴様、何故また出てきたのだ?

ここは貴様の場所ではない、そう言って姿を消したのだろう」

「さて、なんの話かな・・・」

「ふっ、まぁよいさ。最早俺も、この家も終わりだ

もう終わったモノは仕方ないさ」

「なんだ、えらく素直だな?こっちとしては反抗してくる事を想定していたが」

「まぁいいさ・・・さっきまでは無我夢中だったが、ここまで完膚なきまでにやられてしまったんだ、ヤケになるのも、大人らしくあるまい?」

「“大人らしく”?自分のやってきた事忘れてんのか?」

「ふっ、言えてるな。」

ピーポーピーポー

「おや、おまわりが来たか。じゃ、退散させてもらうぜ」

「また会うことがあれば・・・その時は、」

「そんな事、ねぇさ」

「おや?随分言いきるな?」

「生憎、自分には分かっちまうんでね」

そう言って、屋敷をあとにする。

先に戻ってるはずのメンバーに合流する為に、だ。





/side riki

「ねぇ、理樹」

「ん?」

振りむいた瞬間に。

唇には温かい感触。

そう、佳奈多さんとキスをしている。

今までに、何度も何度もキスをしているのに。

このキスは、いつまで経っても忘れないという自信があるくらい。











感動的な、kissだった。











「ありがとね、理樹。」

それと、と佳奈多さんが付け加える。

「だーいすきっ」

そこには、愛しき人の、愛しい顔があったのだった。












あとがき





という訳で、最終回でした!

ん?超展開?

ああ、それぐらい分かってるよブラザー。

でも仕方なかったのサ。

ノートのプロットが途中までで、正直そのあとが続かなかった。

それであれがああなって・・・こうなって・・・こうなったのさ!





この理樹佳奈なんですが、長編、このシリーズはこの話で終了、となります。

あ、この設定が完全になくなるという訳ではないので!それは・・・ねw

またこの設定で書く事もあると思いますので、その時はよろしくw





そして、最後に出た少年、名前すら出なかった訳ですが、当然訳はあります。

あ、というかこのキャラはオリキャラ(オリジナルキャラクターの略)となってるんですが、

実は彼のSSの書きためは結構あるんですよね。ふむぅ。

彼の活躍は、先日1話をあげた新章で明らかになると思います。







では、こんな所まで見て頂いて、ありがとうございました。

またどこかで会えば、その時に。


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