「んんー、やっと終わったわね」
佳奈多が一つ伸びをする。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
その隣では、理樹が荒い息を立てていた。
「あら理樹、どうしたの?そんなに息荒くして…まさか私に欲情しだしたの!?
だ、だめよ、ここは外だしまだ昼よ!?」
「違うよ!ただ単に疲れただけだよ…」
そう。
今まで二人が行っていたのは引っ越し。
男女共同寮、通称、婚約寮への二人の引っ越しである。
いや、二人でやっていた、と言うのには語弊があった。
労働力の比率を表すなら・・・
理樹:佳奈多
10:0
大体こんなもんである。
真面目な佳奈多の事だ、しっかり手伝ってくれるだろう、と思っていた理樹が間違っていた。
引っ越し当日、さぁ動き始めようと言う時に、
「いた、いたたたたたたた」
めっさ棒読みで痛がってました。
「あ、あの、佳奈多さん?」
「ダメだわ、理樹」
「大体分かるけど、何が?」
「どうも…腰が痛んで…」
「え?なんで腰が?」
「へぇ〜…聞いちゃうんだぁ?理樹ぃ?」
なんだかとても艶やかな声で佳奈多が問う。
「え、どういうこt…あっ」
「分かった?理樹。私は昨日の夜に痛めちゃったらしいのよ」
そう言いながら佳奈多は腰を少しながら振った。
それで理樹は赤面してなにも言えなかった。
「だから、家具運びは理樹、よろしくね♪」
「あ、うん、分かったよ…」
そうやって理樹は頑張って家具を自分の部屋と佳奈多の部屋から必死に家具を運び出したのだ。
その時間、約5時間と1日。
昼間は女子寮に特別に入らせて貰えるが、夜にはそんな訳にもいかない。
だから、昼間の内に佳奈多さんの荷物を運び出す、ハズだったのだが…
佳奈多さんの荷物の整理が思いのほか手間取り、結局一日では終わらなかったのだ。
なので、夜のうちに自分の荷物を片付け、少しづつ次の寮に運んで行った。
その時真人は、
「ふぅ…危ねぇ、危ねぇ。新しく重力調整装置をカプセル・コーポ○ーションから買ったといて
良かったよ…」
「え、でももうここには帰って来ないよ?」
「な、に…」
真人は燃え尽きた。
「もう、まっしろだ…」
真人が矢○丈よろしく燃え尽きてるけど、気にせず作業を続ける。
あとはこまごまとした物だけとなったので、寝る事にした。
「そろそろ寝るよ?真人?」
未だ燃え尽きている真人にそう言って、僕は寝て、
次の日に佳奈多さんの荷物と自分の荷物を寮に移し終えた。
そして冒頭に戻るのである。
「やっと終わったね…」
ここは男女共同寮の一室。
ここを使えるのは学校に通学していて、更に卒業後婚約する事を双方が同意している事が
条件の為、施行された初日から使おうとする生徒は居ないようだ。
・・・僕たち以外は。
「でもやっぱりこの部屋はいいわ…広いしそれに…」
何より、と佳奈多は言う。
「理樹とずっと一緒に居られるしね」
「そ、そうだね・・・」
こうやって面と向って言われると恥ずかしい。
んみゅ?でもさっきもっと恥ずかしい事言って無かった?
「って、なんでここで橘さんなんですか!?」
みゅ、だって今回はいれる鬱ポイント無いような気がしたもん。
「それだからってお楽しみポイントに来ないで下さいよ…」
みゅ、それはすまなかったなじぇーけー。
「じゃあお願いしますよ!」
みゅ、了解した。
「理樹、誰と話してるの?」
「えっと…この世界を作った人?」
「理樹、あなた…もうここは現実世界よ?もう棗(兄)が作ってた世界じゃないわ」
「いや、それは分かってるんだけど…」
これ以上はドロ沼か、と思い、理樹は話題を変える事にする。
「ところで、ここって確か、職員寮だったよね?」
「ええそうよ。良く知ってわね理樹。なでなでしてあげるわ」
「いや、恥ずかしいから…」
すごくピンクな空間が出来る。
「ふふふ、ふふふふ…」
〜一時間経過〜
「うふふふふ…」
「あ、あの佳奈多さん?」
「なぁに、理樹?」
「あ、なんでも無いです…」
〜更に多分6時間ぐらい経過〜
「ふぅ…」
や、やっと終わった…
佳奈多さん…流石に7時間は酷だよ…
「って、もう晩御飯の時間ね」
「あ、そう言えばそうだね」
そんな話をしていると、理樹の腹からぐ〜と音が鳴る。
「ふふ、今作るわよ」
佳奈多はエプロンを着け、少し考えた後、
「裸エプロンのほうがいいかしら…」
なにかとんでもない事を呟いていた。
あえて僕はそれをスルーして、収納家具の中に服などを畳んで入れていった。
大体全部入れ終わった頃、
「晩御飯、出来たわよ」
「うわぁ…」
佳奈多さんが作ってくれた料理は、かなり美味しそうだった。
「すごく美味しそうだよ!佳奈多さん!」
「そうかしら?理樹に褒められるなんて、とっても嬉しい」
佳奈多の自然な微笑みが、理樹の弱点だったりする。
「じゃあ、食べましょうか?」
「うん、そうしようか」
「「頂きます」」
二人して食べる。
/side kanata
ああ、食べてる。
理樹が、私の料理を、食べてる。
どう、なのかな。
おいしいって言ってくれてる。
でも、優しい理樹の事だ。きっと不味くてもおいしいって言ってくれるだろう。
自分でも一口食べてみる。
うん、おいしい。
そこまで大きな失敗もしていないみたいだ。
「とってもおいしいや、佳奈多さんの料理」
「それは良かったわ」
そうりゃあ、クドリャフカと一緒に(なんか途中で葉留佳も来てたけど)必死で修行したもの。
ここまでやって、レパートリーもたくさん増えた。
これで立派な奥さんになれると、クドリャフカと話していたものだ。
これで、立派に…
“リッパ?”
「くっ…」
「え?どうかした佳奈多さん?具合でも悪いの?なら布団でも―――」
「いや、大丈夫よ理樹。私は大丈夫だから…」
私は、ここから進めないのかもしれない。
あの家と、けじめをつけなければ…
理樹とも、結婚できない。
そうだ。明日、明日に決着を付ける。
明日は祝日、理樹は棗さん(妹)がこっちに帰って来るから、会いに行くと言っていた。
そうだ。明日に全部終わらせる。そして、理樹との華やかな結婚生活を送るんだ。
そう。明日。
あとがきっ。
まず最初に。
最後強引過ぎてすいませんでしたwww
いやほんとに。
自分が書く時、ほとんど構想とか考えずに思いついたまま書くのですが、(この時点でだめ
それはつまり、どの方向にストーリーが進むか分からないって事です。
ここまで読まれた方は、明日佳奈多が何をするのか、大体お分かりかと思われますが、
佳奈多は例の家に行きます。
そしてどうするか、と言うのはまだ決まってませんw(マテ
とりあえず、この設定は連載、という形を取る訳ですが…
和板君は恐ろしく遅筆な為、時間が掛かると思われます。
それでも見てくれる方が居たらとっても嬉しいのです←
また長くなりましたが、ここで終わりたいと思います。
次は…どうなるんだろうか…
とりあえず、頑張りますおー!